リプレイ
Battle of the
Edson's Ridge
ver1.05

以下は、筆者が木島氏とプレイしたBattle of the Edson's Ridge ver1.05のリプレイである。

:日本軍(木島氏) 
:アメリカ軍(筆者) 
 

TURN #1



 第1海兵師団師団長A.A.ヴァンデクリフト少将の手記より。
 
 1942年9月、我々は依然としてガダルカナル島にいた。
 私の率いる第1海兵師団の精鋭は、ヘンダーソン飛行場を馬蹄形に囲む防御陣地を構え、日本軍の襲撃を待ち受けていたのである。
 先月の攻勢の失敗に懲りた日本軍は、東西から総計2個連隊程度の部隊を揚陸していた。海軍と陸軍の航空機がある程度の敵を海上で撃破していたが、一度上陸してジャングルに潜んでしまうと航空攻撃では如何ともし難くなる。もちろん、その時こそが我々海兵隊の出番なのであるが。
 情報部は日本軍の攻撃方向を西または東の海岸沿いと策定していたが、ジャングルの中の日本軍を航空索敵で探すのは困難である。私は、新着の海兵パラシュート大隊と第1海兵挺身大隊を飛行場南側に配備し、厳重に警戒するように命じることにした。
 

TURN #2



 飛行場の南側、第1海兵挺身大隊C中隊の前に2個中隊の日本軍が現れ、迫撃砲小隊と海兵1小隊を射撃戦で潰滅させた。指揮所から外に出てみると、辺りは両軍の照明弾によって白日のように照らし出され、断続的な銃声が聞こえてきていた。
 

TURN #3-4



 M.A.エドソン大佐指揮の第1海兵挺身大隊C中隊は、鉄条網を乗り越えようとした日本兵に激しい射撃を見舞った。彼らは工兵を伴っておらず、鉄条網を破壊せずに通過しようと考えていたらしい。これに対して、我が軍は陣地から、あらかじめ訓練して距離を体感してある射撃を行うのだから圧倒的に有利である。第1海兵挺身大隊の装備するM1ガーランド半自動ライフル、トンプソン短機関銃、BARなどの自動火器は近距離の敵を討つには最適の武装であった。
 だが、前回の攻勢と同様、天皇の軍隊は多少の損害を被った程度では怯みはしない。C中隊の右翼、ルンガ川沿いの陣地は猛烈な白兵突撃によって突破されつつあった。
 この頃、西方からも第5海兵連隊第U大隊の陣地にも2個中隊程度が強襲してきていた。2個中隊程度であれば陣地を突破されることはないと思うが、砲兵の支援を割かねばならないのが頭の痛いところである。
 

TURN #5-6



 エドソン大佐は、陣頭に立って陣地に突入した日本軍2個小隊を猛射していた。予備の中隊を投入すれば陣地の外へ撃退できそうであったが、日本軍がまだ全兵力を投入していない以上、我々も防衛ラインを手薄にするわけにはいかない。
 西側では、第5海兵連隊第U大隊長のH.E.ローズクラン中佐が前線に駆けつけ、どうにか陣地を死守していた。
 

TURN #7



 第1海兵挺身大隊の左翼、海兵パラシュート大隊の前面にも2個中隊ほどの日本軍が現れ、攻撃を開始した。彼らは巧妙にも煙幕を展開して我が軍の射撃を防ぎつつ進んでくる。海兵パラシュート大隊は近接戦闘はともかく、火力戦闘には心許ないので早急に何らかの手段を講じることが必要になるだろう。
 中央では、日本軍2個小隊が突出したものの、第1海兵挺身大隊D中隊が白兵戦でこれを陣地の外へと撃退した。
 また、西側では陣地右翼が崩壊し、海岸線の守備ががら空きとなっていた。この戦線には予備部隊を配置する余裕がなかったので、防衛ラインは一線でしかない。第5海兵連隊第U大隊長ローズクラン中佐が戦術的手腕を発揮してくれることを祈るのみだ。
 

TURN #8



 海兵パラシュート大隊の前面の敵は徐々にその数を増やし、これが大隊規模の正面攻撃であることを明白にさせた。戦線はその圧力によってたちまち突破される。これには、戦線を縮小して対応するしかない。
 中央でも、第1海兵挺身大隊の戦線は日本軍の攻撃を支えきれずにその突破を許していた。エドソン大佐はまだ約1個中隊と共にルンガ河近くに陣取っていたが、持ちこたえられるかどうかは神のみぞ知る、だ。私も前線に出て、後退してきた第1海兵挺身大隊E中隊の重機関銃小隊を再編成し、前進してきた日本軍の戦闘に射撃を加える。
 西側では、猛烈なバンザイ突撃により、約2個中隊が包囲されて降伏した。陣頭指揮していた第5海兵連隊第U大隊長のローズクラン中佐は行方不明であり、状況は混沌としていた。
 

TURN #9-10



 海兵パラシュート大隊の前面の日本軍は射撃しながら250メートル前進し、相対的に我が軍は250メートル後退した。
 中央でもエドソン大佐は敗残兵を率いて後退中で、私の手元の1個中隊も日本軍のバンザイ突撃を被らないように後退させるしかなかった。しかし、1キロ北には師団司令部があり、これ以上、日本軍を前進させるわけにはいかない。ここが、絶対防衛ラインである。


日本軍の突撃により、崩壊する第1海兵挺身大隊と海兵パラシュート大隊の陣地。
 

TURN #11



 海兵パラシュート大隊は後退戦を戦いつつ、東側の第1海兵連隊の陣地方向へ後退していた。当然、この陣地は東側からの攻撃に備えて配備してあるので西側からの攻撃には十分対応できないだろうが、現状ではこれしか選択肢がなかった。
 中央でも、エドソン大佐は負傷兵を含めた約1個中隊を率いて、時折、追撃してくる日本軍の先頭部隊に牽制射撃を行いつつ後退中であった。
 西側では兵力が決定的に不足しており、もはや戦線を構築することすら不可能である。混乱の中、第5海兵連隊第U大隊G中隊が殿となり、対戦車砲小隊と大隊司令部が後退する時間を稼ぐために苦闘していた。
 

TURN #12



 もはや中隊規模となった海兵パラシュート大隊の残兵は、第1海兵連隊陣地の直前で踏みとどまり、追撃してきた日本軍に決死の反撃を加えた。また、大隊長のH.L.トルガルソン大尉は西方、日本軍の背後のジャングルで約2個中隊を再編成中である。
 

TURN #13



 海兵パラシュート大隊の東側の戦線に対する日本軍の本格的な攻勢が始まった。既に満身創痍であったこの部隊は壊滅し、残兵は第1海兵連隊T大隊C中隊の陣地に潜り込んだ。この戦闘によって、孤立無援となった約2個小隊が日本軍の捕虜になったものと思われる。
 第11海兵連隊司令部は、日本軍の機関銃の曳光弾射撃に見舞われる中で後退を開始した。発砲炎を目視確認したヘンダーソン飛行場の第3防衛大隊は、90mm高射砲3個小隊の水平射撃によってこれを援護した。
 日本軍が目前まで迫った師団司令部に対しては、第1軽戦車大隊を差し向けることにした。エンジンの音を響かせて草原地帯をを疾走したB中隊のM3軽戦車は、日本軍と師団司令部との間に乗り入れて即席の防壁を作り上げた。
 

TURN #14



 東側では第1海兵連隊が反撃開始した。南よりL.B.クローゼル中佐直率の第T大隊B中隊が、北よりC中隊が、そして西側より海兵パラシュート大隊の残余2個中隊が日本軍の包囲を企図して漆黒のジャングルを進み始めた。
 また、激戦の中、一部車両を失った師団司令部と第11海兵連隊司令部は戦車大隊の防衛陣の中へなんとか後退を完了した。後退を援護する第3防御大隊の高射砲は、矢継ぎ早に砲弾を発射して、追撃してきた日本軍約1個中隊を大混乱に陥れた。
 


反撃を開始した第1海兵連隊。
 

TURN #15-16



 クローゼル中佐直率の第T大隊は、前方の日本軍と射撃戦を行いつつ、ゆっくりと前進していた。後方に展開している海兵パラシュート大隊が持ちこたえ、さらに、ここで戦っている日本軍が占領した拠点の保持に固執するならば、彼らは海兵隊の鉄の包囲陣に囲まれることになるだろう。
 第1軽戦車大隊付属の偵察中隊は、高射砲の援護下、滑走路に侵入した約1個中隊の日本軍を白兵戦で撃退した。
 また、西側でも、ようやく第5海兵連隊が反撃に転じていた。
 

TURN #17



 師団の防御陣地の東方、テナル河沿いに発砲炎が確認された。どうやら、日本軍はここに歩兵砲陣地を構えているらしい。ただちに、最寄りの第1海兵連隊第U大隊E中隊が、この日本軍陣地攻撃のために前進を開始した。
 中央では、日本軍が白兵突撃による反撃を試みていた。この攻撃は、極めて狭い正面に対する限定的なものであったが、不運にもその矛先が向けられたのは連戦に疲れた海兵挺身大隊であった。この一角は総崩れとなり、エドソン大佐も乱戦の中、戦死した。海兵挺身部隊の創設者の一人である大佐を失ったことは、海兵隊にとって、補いようのない損失であろう。
 

TURN #18



 東側へ進出していた第1海兵連隊第U大隊E中隊は、機関銃の援護下、日本軍の歩兵砲陣地に突入し、約4個小隊の砲を破壊する事に成功した。日本軍は、この陣地を守備するための歩兵を配置していなかったのだろうか?
 また、ルンガ河を渡河して右岸に進出した第5海兵連隊第V大隊L中隊は、日本軍の司令部と迫撃砲2個小隊を発見し、射撃戦によってこれを撃破した。この部隊は中央の日本軍の無防備な後背に進出したことになる。主戦線では戦車隊が日本軍2個小隊を降服に追い込む善戦を見せており、日本軍を完全包囲下において殲滅することも可能かもしれない。
 西側の日本軍のうち2個中隊は、ルンガ河の突破して中央部主戦線の右翼を圧迫しようとしたが、第1海兵連隊第V大隊K中隊が素早く川岸に防衛線を築き上げたため、彼らは水面を血に染めつつ河の半ばで立ち往生することになっていた。
 

TURN #19-21



 東側へ進出していた第1海兵連隊第U大隊E中隊は、さらに3個小隊を撃滅し、日本軍の砲兵陣地を撃滅した。
 日本軍は5カ所の拠点を死守するようであった。これに対し、海兵隊は拠点に煙幕を撃ち込み、まずはその周囲を掃討する戦術を試みることにした。いかに天皇の兵士たちが勇敢であれ、周囲を包囲されていては士気も落ちるはずである。

日本軍はA〜Eの5カ所の拠点に集結し、海兵隊の攻撃を待ち受けている。
 

TURN #22-24



 拠点Aを包囲した第5海兵連隊長L.P.ユニット大佐は、37mm対戦車砲のカニスター弾射撃によって日本軍の銃火を沈黙させた後、前後からの一斉突撃を行い、約1個中隊の捕虜を得た。
  同様に、拠点Cに対しては第1海兵連隊第V大隊L中隊が、拠点Dに対しては工兵隊の一部が包囲攻撃を行い、それぞれ1個中隊相当の捕虜を得て拠点を奪回した。残る拠点は2つであったが、8時間の戦闘を経た各部隊は疲労の極にあったため、私は戦闘の停止を命じた。海兵隊員の血の代価を払って強襲せずとも、日本軍は兵を退くだろう。
 
 

分析



 拠点を奪取して十分な勝利得点を得るために、日本軍は海兵隊の設置した障害物を越えて、前進しなければならない。この過程において生ずる損害は、リリースしていないがために大量の損失を被る海兵隊の払う代価にほぼ等しい。したがって、日本軍はおそらく3ないし4カ所の拠点を占領して、それを最終ターンまで維持する必要がある。
 木島氏は中央部では中隊スタックを巧妙に指揮して海兵隊の前線を突破し、ヒストリカルの進出位置に等しい、師団司令部の隣接ヘクスにまで迫った(師団司令部ユニットは射撃を受けて損害を被るもなんとか後退した)。一部では、飛行場ヘクスにも進出している。しかし、海兵隊戦車大隊の時宜を得た突進と防衛大隊の90mm高射砲水平射撃によってその前進を阻まれた。このラインへの進出があと2〜3ターン早ければ、戦車大隊は間に合わず、頼みの綱の高射砲も白兵戦によって撃破されてしまったいたかもしれない。火力のある海兵挺身大隊はともかく、白兵戦にのみ強い海兵空挺大隊では日本軍の突進を阻むことは困難であり、海兵連隊の来援がなければ、戦線は崩壊する。
  また、リリースの遅い西部に対する包囲攻撃は1個中隊を殲滅して防衛計画を頓挫させ、海兵隊の心胆を寒からしめた。この部隊の進出方向がテナル河の方向ではなく、北側であったのなら、砲兵陣地が危機に陥っていたことだろう。
 しかしながら、中盤以降の拠点への集中的な配置によって、海兵隊の包囲攻撃を容易にしたという点も否めない。確かに、中隊スタックは強力な火力を持ち、隣接した敵部隊に手ひどい損害を与えられるし、全ユニットが混乱しない限り突撃を被ることもないから、防御能力も高い。それでも、作戦的な柔軟さを失って包囲されてしまった場合は各個撃破されてしまう公算が大きい、ということではないだろうか。